英語史研究会第11回大会研究発表要旨集

 

 

Jane Austen の作品における進行形について

坂東洋子(兵庫教育大学大学院修士課程/兵庫県立兵庫高等学校)

 Strang (1982)によると、進行形は15世紀から17世紀にかけ使用頻度が倍増したが、18世紀には文法上の規範主義の影響などでその使用は横ばいになり、19世紀初期に急に頻度が上がったとされる。使用頻度にこのような変化が見られた時期に創作された、Austen の初期の2作品、Sense and Sensibility (1811)、Pride and Prejudice (1813) および、後期の1作品 Persuasion (1818) を対象として、1)frequency、2) distribution、3) subject type、4) verb type、5) meaning and function 等の観点から、finite form と non-finite form として生起する進行形の用例を分析する。これを通して、Austen での進行形の使用の発展、展開を考察する。更にこの結果から、Austen の文体の一側面を捉えることが出来ればと思う。

 

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Dickens and Literary Dialect

今林 修(吉備国際大学)

 Dickens の描いた地域方言 (Scotland、Cumberland、Yorkshire、Lancashire、East Anglia、Kent、America)は、Pound (1947) をかわきりに Page (19882) に至るまで、音韻体系、形態、統語法、語彙がフィロロジカルな手法によりつぶさに調査されてきた。しかしながら、方言の使用が文学作品という枠組みのなかでいかに有機的に機能しているかという点に関しては議論が及んでいない。本発表では、David Copperfield (1849-50) と Great Expectations (1860-1) を主な題材に選定し、文学作品における言語・文体研究の一端として、社会言語学的支店を交えながら Dickens による literary dialect の使用を考えてみたい。

 

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「聖オルバンズの書」の出版史と The Gentlemans Academie (1595)

向井 毅(福岡女子大学)

 英国書物出版史上初めて多色刷りで印刷された The Book of St. Albans (1486) は、3つの‘H’(hawking、hunting、heraldry) を扱う貴族のための書物である。この書は以後100年余りのあいだに、15度もの版がくり返し出版された。言語の改変もさることながら、編集および造本に興味深い特徴を見ることができる。ここでは、Gervase Markham が編集し、「紳士の学校」と名づけた1595年版を取りあげ、当時の印刷技法をふまえながら書誌的考察をくわえる。

 本文を取り囲むいわゆるパラテクストの観察・分析が、本文の解釈をどこまで拡大し深めることができるか、それを確かめるのが目的である。

 

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The Squire's Tale における Cambaloo と Canacee の関係について

濱口恵子(土佐女子短期大学)

 モンゴル宮廷を舞台にした Chaucer の The Squire's Tale における Cambaloo と Canacee の関係については、667行から669行までの曖昧な記述のため、編者のあいだでもこのふたりが同じ両親から生まれた兄妹なのか、実の兄妹の近親婚を暗示しているのか、論議の種になっていた。Canacee という名前は Ovid の Heroides の11巻の “Canace to Macareus”や John Gower の『恋する男の告解』(Confessio Amantis) 3巻のカナセとマカレアスの話 (Tale of Canace and Machaire) に登場する女性と同名である。Ovid や Gower の Canace は同じ両親から生まれた実の兄を愛してしまう。Canacee という名前のせいか、最近では The Squire's Tale の Canacee も Cambaloo の full-sister であり、同じ両親を持つ実の兄妹間の近親相姦の結婚だとの意見がほぼ定説になっている。本発表では、Chaucer のアクセスが可能だったとされている Marco Polo や John Mandeville、Mandeville が参考にした Vincent of Beauvais の知識の源、John of Plano Carpini や William Rubruck のモンゴルについての記述を調べ、さらにテキストのなかで家族関係を記した箇所を検討することにより、従来の定説どおり、Cambaloo と full-sister である Canacee との結婚を指したものなのかどうか考えてみたい。

 

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OE gelyfan (Beowulf, l. 1272b) の意味について

衛藤安治(福島大学)

 Beowulf が Grendel に襲われながらも、神のご加護によって勝利するという描写(ll. 1269-74a) には前置詞 to を伴う動詞gelyfan の定型句 (to God help gelyfan) が用いられている。Klaeber のグロッサリーに従えば、Beowulf は「(神の救いを)確信して、神に援助を期待した」ことになる。この Klaeber の解釈は、Beowulf が模範的なキリスト教徒であるという前提を必要とする。しかし、この定型句はキリスト教関係の散文には全く用いられず、法律関係の散文における若干の使用例を除けば、韻文にのみ見られることから、キリスト教以前の定型句である可能性が大きい。

 BeowulfAndreas における動詞 gelyfan の用法や他の韻文作品 The Descent into HellParis Psalter に現れるこの動詞の定型句の用例を観察することによって、動詞 gelyfan が散文で用いられる際の一般的な意味「信ずる」だけでなく、「求める」という意味ももっていることを確認し、表題の動詞のもう一つの解釈の可能性、つまり、Beowulf は「必死に神に援助を求めた」という意味をもちいる可能性を探ってみたい。また、同時に、Klaeber の解釈の妥当性についても考えてみたい。

 

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私の授業;英語史:講義・演習

菅沼 惇(前神戸学院大学・元香川大学)

 「せんせ、あのー…Whan that Aprille with his shoures sote …で…」教育学部先輩の卒業生との会での、挨−−拶「世の中を変えたよ、聖書…。」私は Prologue での入門は気持湧かず;∵それは其処で、一応仕舞いの舞の舞い。何処迄も!の続きが我が想い;OE、ME 入門・VL 入門・それらと英語、独語と英語、仏語と英語;芋づる式の係わり、続きの体得(ご立派な英語教師や院生へ)学生の育成 (Would-Be) 方法に、年々の試行錯誤後、辿り着き;

T.序:@捉え方 A; 専門 or (真逆の)教養英語。(B) C;担当者;順送り or 固定(「英語史」専門家は不在;MEの専門家が最適?)。D;通史;入門期で重要、特に教育学部。or 部分史;ME/EMnE 中心上下放射。E;新制大カリ多様化での「英語史」の意義;学問への諸道・枝、院(単位制学識増殖未曾有)、諸学問、言語学、諸言語学の派生・発達も驚異的。A使用教材;『改増 GENESIS IN 4…--OE、ME、VL 入門--』、『英語の語源と由来』(、『言語学』)。B方法;U.本論;[T] 入門講義;小英国・語史概略;A-S 人・語で成立;Gmc 系土語、外寇、後;土語対借用語と他=25%対 50%と他。[U] 実体・体得入門演習;(OE/ME 文法概説、体得後の講義・演習や卒業後の英語教育への活用、院での英語学研究、等の順調、快速進行の為。)その実際は発表で。

 

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